Webコラム


Vol.11
2008.10.31






 デング熱は、決して珍しい病気ではありません。ベトナムで生活する上で、十分に気をつけなければならない感染症の一つです。ホーチミン市内に居住している日本人からも毎年何人もの感染者が出ています。意外に身近な熱帯病なのです。


 デング熱とは?

デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されて感染する病気です。

ヒトからヒトに直接感染することはありません。デング熱を媒介するやぶ蚊には、ネッタイシマカヒトスジシマカがいます。これらの蚊は、ヒトの生活する環境に適応していて、空き缶 や古タイヤに溜まった水溜りで繁殖します。ですので、ホーチミンの市内でも感染する可能性があるのです。実際にホーチミンの中心である1区に居住している日本人がデング熱に罹っています。


 デング熱の症状は?

デング熱の潜伏期間(蚊に刺されてから発症するまで)
は4日から7日です。

急激な発熱で発症することが多く、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛などを伴います。また、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともあります。

発熱は3〜7日ほど続き、解熱する頃に胸部や四肢に発疹(右図参照)が出てきます。この発疹は痒みを伴うことも多く、デング熱に典型的な症状の一つですので、もしも熱が出た後に体に発疹が出てきたら普通 の風邪とは考えず、必ず医療機関を受診して下さい。

通常、この後症状は1〜2週間程度で軽快します。

  >>画像は手首周辺に表れた発疹
>>  画面より多少離れてみると、分かりやすいです。


 診 断

デング熱の初期には、発熱や関節痛などの症状だけでは、風邪やインフルエンザなどと区別 することはできません。デング熱では、血液検査に特徴があります。

病気の初期から血液中の白血球と血小板が減少します。特に血小板(怪我などの時に血を固める成分)の減少は、病気の重症度の判定にもなりデング熱に特徴的です。 また、デングウイルスに対する抗体をチェックする検査があり、この検査が陽性になるとデング熱の確定診断をすることができます。

しかし、この検査も陽性となるのは、発症後4〜5日目以降で、病気の初期にはデング熱の場合でも陰性となることがありますので、総合的に判断する必要があります。

当院には10〜15分ですぐに結果の分る、デング熱検査キットを用意してあります。

 デング出血熱

デング熱の経過中に著明な血小板減少と出血傾向を伴う重篤なデング出血熱になることがあります。デング熱がデング出血熱になるのは高熱が下がって平熱に戻りかけたときが多いと言われています。熱が下がって体が楽になった頃が要注意なのです。

デング出血熱になった場合には、入院して全身状態の管理を行うことが必要です。点滴治療を行い、場合によっては血小板輸血が必要になることもあります。適切な治療が行われないと死亡することもありますので慎重な集中治療が必要です。

デング出血熱は、初回感染よりも2回目以降が危険性が高いです。また、大人よりも子供の方が出血熱になりやすいといわれています。しかし、どのような場合にデング出血熱になるのかいう原因は、はっきりとは分かっていません。


 治療と予防方法

デングウイルスに対する治療薬はありません。抗生物質は効果がありません。
治療は、発熱や脱水などに対する対症療法を行います。解熱剤の中には、出血傾向を悪化させてしまうものもあるので注意が必要です。病院で処方されたものを内服して下さい。

デング熱を予防するワクチンはありません。とにかく蚊に刺されないことが第一の予防策です。外出時には、虫除けスプレーを使用しましょう。可能な範囲で長袖や長ズボンを着用するようにしてください。室内では、蚊取り線香などを使いましょう。就寝時には、蚊帳も有効です。

また、デング熱を媒介するネッタイシマカは、ヒトの生活する場所で繁殖します。もしも家の周りに水が溜まるような場所(空き缶 、貯水槽など)があるのであれば、しっかり管理することが重要です。


症例).ホーチミン市1区在住の28歳の男性。発熱と関節痛にて受診。


初診日

39度の発熱があり、関節痛を訴えての受診。
血液検査を行ったところ白血球と血小板の低下を認めました。

デング熱の抗体検査は陰性でしたが、症状や血小板の減少を認めたことから
デング熱の疑いありと診断し、解熱剤を処方しました。

4日目  


〜1週間目
解熱しましたが、それとともに全身に発疹が出現しました。
血液検査では、さらなる血小板の低下を認めました。

毎日の血液検査にて慎重に経過観察を行い、その後、血小板は上昇しました。
デングウィルスの抗体検査を再検査したところ陽性となり、デング熱の診断が
確定しました。

入院はせずに発症から一週間で体調は回復し、治療終了となりました。



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